コリドラス飼育入門
投稿:2019/11/10 更新:2019/11/24

コリドラスの病気・治療法

コリドラスの病気として代表的なのは「水カビ病」と「カラムナリス病」の2種類です。どちらも 水質の悪化等が原因のストレスによる免疫低下が原因でおきやすいですが、 大きめの水槽で適切な飼育数で飼育していれば 病気にはあまりかからないです。

また他の原因として、コリドラスが国内に輸入されてくる際の環境が良くない場合もストレスの原因に なり、病気を発症しやすいです。基本的にはお店でトリートメントされるので重症の個体はいないですが 軽度に発症したままの個体を自宅の水槽に迎えてしまう可能性は否定できません。 コリドラスをお店で買う際には、個体に白い綿上の物が付いていないか、ヒレ先がボロボロになっていないか 確認してから購入することで病気を予防できます。


水カビ病

「水カビ病」は、コリドラスの体に綿状の菌糸が付く病気です。徐々に菌が増えていくので、 速めに対処しないと重症化してコリドラスが死んでしまいますので見つけ次第薬浴を行いましょう。 この菌糸が増えると、モヤモヤしたゼリー状の物がコリドラスに付くので発見しやすいと思います。

治療には、他の熱帯魚と同じく殺菌効果のある治療薬を水槽に投与します。グリーンFゴールドや 唐辛子を入れ、水温を28℃にして様子をみましょう。塩浴も効果的です。


カラムナリス病(尾腐れ病)

カラムナリス病もコリドラスがかかりやすい病気です。これも水温の急な変化や水質の悪化で なりやすく、胸ビレや尾ヒレが溶けてくる病気です。コリドラスの場合はヒゲが溶けてくる事もあるので 元気がない場合は注意して観察してみてください。

カラムナリス病も、殺菌効果のある薬浴で治療可能ですが、コリドラスに限らず熱帯魚の病気は 死亡率が高いです。早期治療なら比較的治りやすいですが100%助かるものではないことを あらかじめ知っておいて欲しいと思います。以下に代表的な治療方法を紹介します。



唐辛子治療法

最も安全な治療法で、唐辛子に含まれる「カプサイシン」の殺菌力で病原菌を殺菌します。 魚にも水草にも悪影響が少なく、初心者にも確実に行えるのが良いところです。やり方は、 水槽の中にちぎった唐辛子を3個~5個入れるだけです。唐辛子はフィルターの中に入れたり、 不溶性の紙やコットンに包むと魚につつかれず安心です。

唐辛子は3日おき程度に取り替えるようにしましょう。5日以上も放っておくと唐辛子もドロドロに なってしまいます。ちなみに唐辛子の「カプサイシン」の殺菌力は強力で、投入から2~3日で 効果が見られるかと思います。さらに水温も28℃程度にしておけば菌の繁殖を抑えられるので 効果的です。

唐辛子治療は1週間を目安に行います。治療中の1週間はエサも絶つ方が望ましいですね。コリドラスから 綿状の菌が消え、ヒレの欠けが止まって元気に泳ぐようになれば成功です。唐辛子を水槽から取り出し、 通常の水換えを行って終了です。


グリーンFゴールド

グリーンFゴールドは魚用の治療薬で、青いパッケージで売られています。中身は「メチレンブルー」で、 殺菌力が高く、塩分も含まれているようです。この塩分は水草を枯らせてしまうので、コリドラスを 薬浴用の水槽に移すか、水草を水槽から取り除いて使用します。グリーンFゴールドを水槽に垂らしていき 掻き混ぜて、ある程度水が青くなるまで足していきます。

この青い薬液は服に付くとまず取れません。手に付いたものは徐々にとれますが、なるべく薬液が 飛び散らないように扱いましょう。この薬浴も1週間をめどに行い、エサはなるべく絶ちます。 コリドラスが元気になり、症状が消えたら終了です。

メチレンブルーの青は、1回の水換えでは消えませんが、気にする必要はありません。計3回目くらいの 水換えでほぼ青色は消えます。水草を入れるなら完全に青色が抜けてからにしましょう。 このグリーンFゴールドは、他の魚にも使える万能薬なので、1本持っておくと便利ですよ。


塩浴

これも熱帯魚の治療の定番のやり方です。飼育水の塩分濃度を上げることで塩分の殺菌効果にプラスして 浸透圧の効果でコリドラスの体力回復を見込めます。これはコリドラスの塩分濃度と飼育水の塩分濃度を 近くすることで生体の負担を軽くすることができます。

この塩浴は全ての病気に使えて万能ですが、初心者にはやや難しいかもしれません。コリドラスには 飼育水の塩分濃度は0.2%~0.4%が妥当だと思います。またエサも絶ちます。水温も28℃にし、 細菌の繁殖を抑えていきます。

この塩浴も、水草を枯らしてしまうので水草にはNGです。またグリーンFゴールド等のメチレンブルーとの 併用も効果的です。ただコリドラスは塩分にはややデリケートなので、塩分濃度は0.3%が妥当だと 思います。水槽の水が10Lなら粗塩を30g、15Lなら粗塩を45g、徐々に足していきます。 最初は塩の量の多さに驚きますが、これで大丈夫です。

塩浴も1週間を目安に行い、コリドラスが元気になって症状が無くなったら終了です。 水換えを行ない、水温も24℃程度に徐々に下げて終了です。水温の調整は、温度調整式ヒーターの 温度を2時間に1度ずつ下げるのが理想ですね。


治療で水温を上げる意味

これは他の熱帯魚でも同じですが、病原菌の大半は水温26℃が最も活発に繁殖する温度です。 これよりも高い水温だと活動が弱まります。コリドラスは高水温には弱いので、約28℃を上限に 水温を上げることで細菌の繁殖を抑え、より高い殺菌効果を得られます。

高水温に強い魚の場合はもっと水温を上げられますが、コリドラスの場合は28℃が妥当ですね。 治療には水温調整式ヒーターが便利ですので、26℃固定式よりも水温調整式をオススメします。


薬浴でエサを絶つ理由

これは魚の体力温存を目的としています。エサを与えないことで消化器官を休め、免疫力を 高めることで回復力もアップします。魚は基本的に飢えに強く、1週間エサなしでも平気です。

エサやりは薬浴を終えた日から、消化器官への負担を考えて通常よりも1/2~1/3程度のエサの 量を与え、3日目あたりから通常の量のエサやりを行ってください。

コリドラスのヒレ避けは完治不可

残念ながら、病気で失われたヒレは完全には治りにくいですね。ヒゲも同様です。なので、 コリドラスの病気は早期治療が鉄則なので、できれば毎日、コリドラスの体をチェックして 異常はないか、元気のない個体はいないか確認するクセを付けましょう。


病気予防が最も大切

コリドラスの病気について解説していきましたが、コリドラスは元々丈夫な品種で、豊富な水量、 適度な水流、適したエサ、適した水温を保っていれば簡単には病気にはならないのも事実です。

なので、コリドラスはできるだけ大きな水槽を使い、充分な水流があって、食べ残しの無い清潔な底砂、 適切な水換えをされた環境で飼育してください。そうすることで何年も病気の発生しない水槽環境が作れます。