コリドラス飼育入門
投稿:2019/11/10 更新:2019/11/14

コリドラスの繁殖

コリドラスは他の熱帯魚とは違った、独自の繁殖方法を行います。とはいえ、繁殖の難易度は低く、 日本のメダカと同等の難易度で、増やしやすいのが特徴です。放っておいても勝手に産卵し、 「気が付いたらコリドラスが増えていた」というのもよくあります。


独自の繁殖法「Tポジション」

コリドラスのカップル

コリドラスは、メスがオスの総排出口から精子を吸い出し、精子がメスの体内を通過して 受精し、産卵します。その姿がアルファベットの「T」に似ているのでTポジションと 呼ばれます。環境のよい水槽なら時々見られる繁殖行動ですね。

ただし、繁殖にはオス・メス共に若くて元気な固体が必要になります。メスの奪い合いがおきないように オス1匹に対してメス2匹が理想的です。なので1つの水槽にコリドラスが9匹もいれば繁殖は可能と いえます。


改良品種から始めよう

コリドラスは、お店で流通している改良品種(赤コリ、青コリ、白コリ、パンダ)が生命力も高く繁殖が 容易です。もともと東南アジアでブリードされた個体なので成功率が高いですね。逆に野生種や 高価な品種は繁殖の難易度が高いので、繁殖に慣れてから挑戦することをオススメします。

また、赤コリなら赤コリ同士、パンダならパンダ同士で繁殖させるほうが無難です。なお白コリは 赤コリのアルビノ品種なので、赤コリ×白コリでの繁殖も可能なはずですが、オススメしません。 同じ品種同士で繁殖させたほうが成功率は高いですね。


繁殖に適した環境を作る

コリドラスを繁殖させるには、繁殖に適した環境にする事が重要です。水温は24~26℃で、 成熟した若い個体で、栄養状態も良いオス・メスが必要です。毎日しっかりとエサを与え、 少し肥えるくらいにすると理想的ですね。

水槽には水草や土管など、隠れる場所があって、適度な水流があり、ストレスの無い環境なら 繁殖に適しています。オスがメスを追いかけだすと、繁殖行動は近いです。

繁殖用に、エサは天然のエサが理想的です。ミジンコや冷凍赤虫がベストですが、手間もかかります。 人工のエサでも可能ですが、フリーズドライされた乾燥赤虫をあげる方法もあります。 天然のイトメなどは熱帯魚店か釣具店で購入可能ですが、扱いが難しく、 すぐに死なせやすいのでオススメしません。


オスとメスの見分け方

コリドラスはオスもメスも体色は同じなので分かりにくいですが、オスはスマートでメスは卵を抱えている のでお腹がふっくらとしています。上から眺めると分かりやすいですが、慣れてくるとパッと見で 区別が出来るようになりますよ。


繁殖のタイミングを作る

水槽内の環境が整っていれば、自然に繁殖が行われますが、他の魚と同じように水換えを行い、水質に 変化を与えると、それが刺激になって繁殖を促す場合もあります。水換えを行った翌日あたりから 繁殖が始まることもあります。


コリドラスの繁殖期

コリドラスは年に2回の繁殖期があり、3ヶ月毎になります。3ヶ月産卵して3ヶ月休むのを繰り返します。 産卵期は1週間毎に卵を産みますので、前回の産卵日をメモしておけば次の産卵は約1週間後なので 予測が付き易いですね。

またコリドラスは明け方に卵を産みやすいです。なので、朝起きたら産卵していないか確認するように すると見つけやすいですね。卵は水草の裏側や、水槽のガラス面など水流のある所に産み付けられやすいです。

産卵を確認したら、卵を別水槽に隔離することをオススメします。親コリドラスは卵を食べますので、 多く孵化させたいなら親コリドラスと隔離させましょう。別に水槽がない場合は、小さいプラケースを 水槽に浮かべて、その中で卵を孵化させる方法もありますよ。

なお卵は産卵直後は硬く、手で触れても問題ありません。ガラス面や水草にくっつく為に粘着性があります。 日が経つ毎に卵は柔らかくなりますので、産卵の翌日からは触れないようにするのがベストだと 思います。孵化直前は非常に柔らかく脆いのでご注意を。


卵が孵化したら

コリドラスの卵は約4日で孵化します。透明の有精卵から徐々に色が変化していきますので、 卵の中の稚魚の目が見えてきたら孵化が近いです。そっと見守ってあげてください。

卵が孵化し、コリドラスの稚魚が生まれたら、3日程度はエサを与えなくても大丈夫です。稚魚には 「ヨークサック」といって、栄養の詰まった袋が付いているので、この栄養だけで数日成長します。 3日以上経ってから、ブラインシュリンプを与えるのが理想的ですが、メダカの稚魚用の粉状のエサでも 代用は可能です。

なお、稀にヨークサックが生後すぐに衝撃でポロリと取れてしまう子もいます。泳ぎ出せばエサをあげ、 ジッとしていればエサはまだ不用なので注意して観察してください。

稚魚へのエサは1日2回、朝夕にあげるのが理想的ですが仕事などであげられない場合は1日1回の エサやりでも大丈夫です。数日与えられない場合は、生存率は落ちますのでご了承ください。

稚魚の入った水槽は、毎日1/4程度の水換えを行ってください。これは稚魚がエサを多く食べるので 水質の悪化が速い為ですね。稚魚は新しい水を好みますので、こまめに水を換えましょう。 新しい水はカルキを抜いた水道水を、水槽と同じ水温で足してくださいね。

稚魚が生まれて2,3週間経って、親コリドラスのクチよりも大きくなれば、もう親に食べられる心配は ないので親と同じ水槽に戻してもOKです。稚魚用のエサは変わらず食べるので、徐々に親と同じエサに シフトしてあげるようにしてください。


コリドラスの卵が孵化しない場合

卵が孵化しない場合は、無性卵である可能性があります。白い卵は基本的に無性卵なので孵化しません。 水カビが生えるので取り除きましょう。透明な卵は有精卵なので孵化の可能性が高いです。 また、無性卵の水カビが有精卵に移って卵をダメにする事があります。カビの生えた卵は積極的に 取り除いて捨てて下さい。


ほったらかしで繁殖もアリ

コリドラスの繁殖率は高いので、増えすぎて困ることもあります。その場合は、繁殖は自然にまかせる ことで1度に多く増やさないことも可能です。

コリドラスの卵を見つけてもそのままにし、自然に卵を孵化させて、エサは水槽のバクテリアや 親の食べ残しだけでも稚魚は少ないですが生息できます。増やしすぎず、減らしすぎない範囲で コリドラスの繁殖を楽しむのも1つの方法だと思います。