ピンポンパール飼育入門

ピンポンパールの習性

金魚のイラスト

ピンポンパールは、金魚の中でも、最もか弱い品種になります。 同じく病弱な品種では「ランチュウ」がありますが、それ以上にデリケートといえますね。 身体が丸く、ヒレが特に小さいので、魚なのに泳ぎは苦手です。

なお、他の金魚と同じように胃はありません。消化器官の腸はありますが、 消化能力は総じて低いです。なので、餌を多く食べても上手く消化できません。 そのため、消化の良い餌を少量ずつ食べさせるのが良い魚です。

また満腹感を感じないようで、エサがあればどんどん食べてしまう習性があります。 極度に食べ過ぎると、消化不良が原因で死に至る場合もあります。

ちなみに厳密にはピンポンパールは身体が完全に丸い個体の名前で、 少し体長が長くてラグビーボール体型だと本来は「パールスケール」といいますが、 お店ではほぼ同じように扱われています。同じ水槽に混じっていることも。

また目は比較的良い品種です。水槽内は隅々まで見えているようです。 エサも見つけるのがうまいですが、泳ぐのは遅いので、他の泳ぎの早い魚とは 一緒にしないほうが良いです。

体色だけでなく、体型にもわずかに個体差があります。また基本的には尾ヒレが 短い(ショートテール)ですが、国産では尾ヒレの長いロングテールもあります。 ロングテールはなかなか優雅な泳ぎをしますよ。

あまり知られていませんが、ピンポンパールにも歯があります。咽頭歯(いんとうし)といって 喉の奥にある骨でエサを噛み砕きます。どの金魚の咽頭歯も同じ形、同じ葉並びになっています。 なので、多少固い固形のエサでもちゃんと食べられるわけです。エサの消化には最低でも30分 はかかっているようです。

そしてピンポンパールが好む水のph(ペーハー)は約6.5の弱酸性になります。水道水は約7.2程度の 中性で、水道水のphでも飼育は充分可能ですが、水道水を弱酸性にするには水質調整剤の 「アクアセイフ」があれば簡単にできます。できれば使用したほうが理想的ですね。

またピンポンパールは、泳ぎが苦手な分、水流をあまり好みません。「わずかな水流」が理想的です。 これはエアーポンプをやや絞って、ピンポンパールが水流に流されない程度にすると、快適な環境 といえます。


ピンポンパールのタンクメイト

他の品種の魚とは、基本的に混泳は無理と考えて下さい。 泳ぎの遅いランチュウですら、ピンポンパールよりは速く泳げますし、 他の魚に餌を全部取られることになりかねません。水槽内はピンポンパール同士だけで飼いましょう。

同じように身体が丸い金魚の、琉金(リュウキン)という品種なら飼えなくもないですが あまりおすすめしません。またエビ類との相性は最悪なので、ヤマトヌマエビやミナミヌマエビは 同じ水槽に入れないで下さい。エビから見たら、泳ぎの遅いピンポンパールは格好のエサ になってしまいます。

水槽の底に沈んだエサも食べるので、コリドラスやドジョウなどの、水槽の底が生息域という 品種も混泳は難しいですね。

ピンポンパールの寿命は、平均して5年前後です。長いと10年程度生きた例もあるようですが、 個体差や、環境次第で長くも短くもなります。安定した水温、新鮮なエサ、変化の少ない 水質、騒音や振動のないストレスフリーな環境が魚の寿命を伸ばします。

ピンポンパールの水槽は、底砂無し、水草無しの方が飼いやすいです。これは、 餌を見つけやすくするためです。楽に餌を取れる環境がピンポンパールには最適です。 なので水槽には何も入れないようにしましょう。


転覆病について

そしてピンポンパールに多い転覆病ですが、エサを少なく与えていればそれほど かかる病気ではありません。これはお腹の中のガスが溜まって身体がひっくり返る ことが原因である場合がほとんどです。金魚の中でも身体の丸い品種がなる病気ですね。

また、転覆病は水温が25℃以上なら、エサの消化能力が活発になるため、ほとんど おきないです。なるべく魚に優しい環境にしたいなら、26℃前後で飼育しましょう。 なおピンポンパールに最も適した水温は26℃~28℃だと思います。

温水で生まれ育った外国産ピンポンパールはもちろんですが、国産ピンポンパールでも このくらいの水温のほうが飼いやすいと感じます。まあ国産はタフなので、無加温での 越冬も可能ですが、すくすくと育てたいなら水温26℃前後がお勧めです。