ピンポンパールの病気
ピンポンパールの病気としては、主に白点病、松かさ病、転覆病などがありますが、 基本的には適した水温、適した水換えさえ行っていれば病気にはかかりにくいです。 各病気の特徴と治療法を紹介していきます。
白点病
ピンポンパールの体表に、白い点がポツポツと出てくる病気で、これは 金魚の代表的な病気です。水中のバクテリアが少なすぎると発病しやすいです。 魚の抵抗力が落ちると発症するので、抵抗力を上げる為に塩浴や、水温を上げる事でも 治療できます。
これは「ウオノカイ線虫」という寄生虫が原因ですが、この寄生虫は、卵を含め水槽には だいたいの金魚に潜んでいる寄生虫ですね。
放置すると徐々に魚が弱っていき、数日で死んでしまうので、病気を見つけ次第 治療して下さい。飼い始めになり易い病気でもあるので、購入時にピンポンパールの入っていた 袋の水は必ず全部水槽に入れて下さい。袋の水には、魚に有用なバクテリアがたくさんいます。 このバクテリアが多い水槽では、白点病をはじめ様々な病気は発生しにくくなります。
この白点病ですが、最も効果が高い治療法としては、「唐辛子」が効果的です。これは、 唐辛子に含まれる「カプサイシン」の殺菌効果で寄生虫を退治するもので、カプサイシンは 自然の殺菌成分ですので、魚や水草には悪影響なく使用できます。
唐辛子を1~2房ほど、フィルターの「ろ過材」に入れるか、ガーゼでくるんで水槽に入れて下さい。 ハサミで唐辛子を輪切りにするとより効果的です。あまり入れすぎてもダメですが、効果は絶大です。 3日もあれば「ウオノカイ線虫」は死滅しますので、最長1週間で唐辛子を取り除いてくださいね。
松かさ病
これはピンポンパールの体表のウロコが逆立った状態になる病気で、これも金魚が かかりやすい病気です。水中のエロモナス菌が原因で発症します。(体が膨らみます。) 正式名は「運動性エロモナス敗血症」。
ただピンポンパールの場合、体長が短い分、ウロコも小さく短くなっています。 他の魚よりもウロコが丸く粒状なので、松かさ病にかかってもすぐには分かりにくい ですね。ピンポンパールが急に元気がなくなってきたら、 ウロコが尾ヒレ側から開いていないか、上から注意して観察してください。
このエロモナス菌は常在菌といって、水中ならどこにでもいるような菌なのですが、魚の抵抗力が 落ちてくると、魚の表面に一気に繁殖して発症します。基本的には水換えを怠っていると 水質がどんどん悪化して最終的にかかる病気ですね。
この松かさ病は、発症すると怖い病気ではありますが、その反面、水がキレイで急激な 水温変化が無い環境ならばかかりにくい病気でもあります。まず予防が大事ですので、水換えを怠らず に飼育することを心がけましょう。
この松かさ病は、初期の段階では金魚の体力の低下が見られます。昨日まで元気に泳いでいたのに、 翌日から急に泳がなくなったりしたら松かさ病を疑ってみて下さい。
初期症状の段階なら、やはり塩浴が無難ですね。塩分濃度0.5%の飼育水を作るため、ピンポンパールの 入った水槽の水を使ってください。10リットルなら約50グラムの塩が必要になります。 最初は塩の量の多さに驚きますが、結構な量が要ります。
塩を徐々に足し、塩分濃度0.5%になったら、今度は水温を上げましょう。3時間に1℃程度の割合で、 徐々に水温を水槽用ヒーターで上げていきます。これには温度調整式ヒーターが必要になります。 ピンポンパールのいる水槽の水温が約30℃になったら、準備完了です。
魚の治療薬である「メチレンブルー」が手元にある場合は、ついでに使いましょう。メチレンブルーは かなり万能な治療薬で、殺菌効果も高いです。取扱い説明書をよく見て、適量を水槽に投入してください。 基本的には、水槽の水がしっかりと青色になるくらいの量が適量ですね。
この状態のまま、約一週間飼育します。エサは与えないか、ごく少量与えても良いです。この塩分濃度 0.5%というのは、魚に取って最も楽な状態で、魚の抵抗力を上げてくれます。そして水温ですが、 エロモナス菌は水温が25℃前後が活発に活動する水温なので、活動が低下する30℃まで上げることで 菌の繁殖を抑える目的があります。
約1週間の塩浴で、ピンポンパールが元気に泳ぐようになれば治療完了です。初期の段階なら比較的 簡単に治りますが、症状が進んでいると治療しても完治は難しく、死亡率も低くはないのが現状です。 ただ、それほど頻繁に見かける病気でもないので、日ごろから水質を悪化させないように心がけましょう。
なお、この塩浴など、手間がかかる治療が苦手な方は、ガーゼに包んだ「唐辛子」を水槽に1~2房入れる事でも、 唐辛子の殺菌効果でエロモナス菌を撃退して治療できます。これも最長1週間で効果があります。
ただ唐辛子を入れすぎると、成分のカプサイシンが水中のバクテリアにまで悪影響を与える恐れがありますので、 必ず1~2房という適量を守るようお願いします。なお唐辛子は水に溶けませんので心配ないですが、タネが水槽に 残ったりしないように注意しましょう。最悪金魚が食べてしまいかねません。(食べてもそのまま消化されずにフンになります。)
転覆病
※画像はイメージです。転覆病は、文字通りピンポンパールがひっくり返って上手く泳げなくなる病気です。体型の丸い魚がかかりやすく、 ピンポンパールの他には、流金(リュウキン)や出目金(デメキン)という品種もなりやすいですね。なお体の細い魚は基本的にはかかりません。
この転覆病、エサの消化不良が原因でお腹の中にガスが発生し、上手くバランスが取れないでひっくり返るのが 原因のほとんどのようです。なので、エサをやりすぎると発生やすいといえます。体内の浮き袋にも原因があるのではと いわれていますが、はっきりしません。
いずれにせよ、エサを食べ過ぎると発生する病気なので、金魚が水中でひっくり返ったままになっていたら 治療してあげましょう。最も効果的なのが「絶食」です。数日間エサを与えずに自然に回復するのを待ちましょう。 そのためには、転覆病にかかった魚を隔離するのが最善です。治療用に小さい水槽にいれるか、バケツでもかまいません。
塩浴も効果がありますが、転覆が初期の段階なら必要ありません。隔離した水槽で飼育し、水温26℃程度で様子をみます。 水温を上げるのは、魚の消化器官の働きを促進するためです。温水なら消化が良くなります。 最大1週間もあれば、ほとんどの場合回復します。回復後は、エサを少なめに与えるようにしましょう。