ピンポンパール飼育入門

ピンポンパールの繁殖・産卵

ピンポンパールの群れ

ピンポンパールの飼育に慣れてきたら、繁殖に挑戦してみるのも良いかもしれません。ただしやや難易度が高いというか、 成熟した個体がいないと無理なので、全くの初心者には難しいかも知れません。またそのぶん水槽も多くなります。


成熟したオス・メスのピンポンパールで繁殖可能です。

繁殖可能なピンポンパールとなると、最低でも体長7cm程度になります。生まれてから早ければ2年くらいで そのくらいの大きさになりますが、エサが少ないとなかなかこの大きさにならないですね。 毎日のエサの回数を増やしてあげると成長も速いです。

また、時期や水温も産卵に関係します。屋外で飼っているなら、春の時期(4月~7月)、水温15℃以上で メスが産卵しますので、この時期を狙ってみてください。なお、室内飼いで水槽用ヒーターがあれば 暖かいので年中産卵も可能です。

ピンポンパールのオスも、他の金魚と同じように、繁殖期になると追星(おいぼし)といって、エラ蓋や胸ビレ部分に 白い点がブツブツと付きます。この追星もオスの栄養状態が良いとよく出ます。


オスとメスの見分け方

基本的には、オスは追星でわかりますが、フンを出す「総排出口」の形でも見分けられます。ピンポンパールを 手で持って裏返し、フンの出る「総排出口」を見て、縦長ならオス、大きくて丸いならメスです。

メスの場合も、卵を抱えていると横から見てお腹が膨らんでいるので分かりやすいです。またメスは追星が 出ないので、これも参考にしてください。


産卵の準備

交配させるオス、メスを選びます。基本的にはピンポンパールも両親のうち、メスの体型を受け継ぎやすいです。 なので体型のよい、卵でお腹の膨らんだメスを選んでください。

オスも体型が良いに越したことはないですが、体色も考慮してください。筆者は更紗のオスメスで繁殖させましたが、 子供は更紗、白、素赤と分かれました。キャリコ柄は両親のうち片方がキャリコでないと生まれないのではと思います。 なので、キャリコ(三色)の個体が欲しい場合はキャリコの親を選んで下さい。

繁殖させるオスメスを決めたら、この2匹だけを1つの水槽に入れます。金魚は繁殖に相性はないといわれていますので、 このまま2匹が自然に産卵・受精するのを待ちますが、産卵用に水草を入れておくと良いですね。

水草は、アナカリスやカボンバ、マツモなど、水に浮いて葉の柔らかい定番のものが理想的です。お腹が空いていると ピンポンパールが少し食べますが、雑食なので問題ありません。


産卵したら

金魚は明け方に卵を産みやすいです。夕方にオスメスを投入し、朝になったら水草をチェックしましょう。うまく産卵に 成功していれば、水草に透明の卵がたくさん付いています。ピンポンパールも産卵数は多いですが、100~200個前後は 受精卵が取れるかと思います。(個体差があります。)

透明の卵は受精卵です。親魚に食べられないように隔離して、同じ水温、水質の別の水槽に移します。なお白く濁った卵は無性卵や 死んでしまった卵ですので、スポイトで取り除いてください。放置すると水カビが生えて、受精卵まで死なせてしまいます。

卵は早くて3日、遅くて7日程度で孵化します。これは水温によって変わりますが、だいたい同じ日に大半の卵が孵化しますので、 稚魚は生まれて2日目くらいからブラインシュリンプをあげてください。

生まれてすぐのピンポンパールの稚魚には、栄養の詰まった「ヨークサック」が付いているので、これが取れるのが孵化後 2~3日程度です。ブラインシュリンプが無理な場合は、市販のメダカの稚魚用のエサでも食べてくれます。

稚魚が体長2cmくらいになったら、冷凍赤虫やミジンコも良く食べます。もちろん人工のエサでも育てることは可能です。 どうしても落ちる子は出てきますが、無理のない範囲内の飼育数でトライしてみてください。

なお、繁殖には結果的に「選別」も伴います。いる子といらない子がどうしても出ますので、選別落ちした子は知り合いに譲るか、 または馴染みの熱帯魚店に譲るのも良いと思います。一匹一匹を大事に育てて下さいね。

そして水槽ですが、ピンポンパールを繁殖させるのには大きめの水槽が必要です。60cm水槽でも 小さいくらいなのが本音ですね。ガラス水槽は高価なので、左官用のプラスチックのトロ舟や、 衣装ケースを代用することも可能です。