金魚の飼い方

金魚の種類

フナから派生した金魚は現在、多くの品種に分かれて作出されており、とてもたくさん種類があります。 一般的な品種からレアな品種までまとめてみました。


スマート体型金魚

和金(わきん)

水中を泳ぐ和金の群れの画像

先祖のフナに最も近い、金魚の原種?のような品種で、生命力も繁殖力もナンバー1ではないでしょうか。 非常にたくさん採れるので、エサ金(大型魚のエサ用金魚)としても流通しています。 最も丈夫で飼いやすく、長生きする品種でパイロットフィッシュとしても優秀です。

またサイズによって名称が変わるのも和金の特徴です。全体的に安価なのでたくさん飼育するのにも 向いていますね。


小赤(こあか)

小赤金魚の画像

全長約4cm程度。最も小さいサイズの和金で、「金魚すくい」でも流通しているのがこのサイズ。 1匹数十円なので買いやすく、まとめて扱われる中でまだ赤くならずフナのような色に なっている固体もあります。赤以外の個体も混じっているので、好みで選んでください。

和金は白色、フナ色<赤色<更紗(紅白)の順で価値がありますが、好みで選ぶのが良いかと思います。 泳ぎが速い品種なので、元気に泳いでいる個体が調子の良い個体です。


姉赤(あねあか)、別下(べっか)

姉赤金魚の画像

全長7cm程度と、小赤が少し大きくなったサイズ。このあたりから赤色がよりはっきりしてキレイです。 ある程度育って見栄えも良いので、初心者の方が飼うのにも適しています。


姉大(あねだい)、小和金(こわきん)

姉大金魚の画像

姉赤がより大きくなったもので、全長10cm程度。なかなか大きいです。繁殖にも適しておりますが、 手間を考えると購入した方が早いかもしれませんね。


親姉(おやあね)、大姉(だいあね)

親姉金魚の画像

流通している和金の最大サイズ。約14cm程度と大変大きく、コイなどの少し大きい 魚とも混泳できます。体色も見栄えも最も良く、長生きさせやすいので、飼う際には あと5年は生きることを前提にしたほうがいいですね。

ただこの和金のサイズ、どうも地域によって呼び名が違うようです。関西と関東で違うのかも 知れません。関西圏では小赤<姉赤<姉大<親姉と呼びますが関東圏では小赤<別下<小和金<大姉に なるようです。また各サイズとも幅があり、おおよそのサイズで分けられています。


コメット

更紗のコメット金魚が泳いでいる画像

体は和金、尾ヒレは琉金のように長い品種。日本からアメリカへ輸出された和金と琉金を 交配させて作出され、日本に逆輸入されました。

長い尾ヒレは「吹き流し尾」と呼ばれ、水中で彗星のように伸びるのでコメット(英語で彗星 の意味)と名付けられました。和金よりも見応えがあり、体色もバリエーションがあります。

ただし、金魚の品種の中でも最も気性が激しいのがコメットです。この品種を飼うときは、 同じ品種のコメット同士でのみ飼育するようにしてください。また特に群れを好みます。


レモンコメット

黄色いレモンコメット金魚が泳いでいる画像

コメットの全身が黄色くなった品種。明るいレモン色で、複数飼うと水槽を明るい感じにしてくれます。 少々レアな品種なので、熱帯魚店でもあまり見かけないですね。


朱文金(しゅぶんきん)

朱文金が横向きに泳いでいる画像

体色が赤、白、黒、青と混じったキャリコ柄の品種で、透明鱗といって鱗が半透明になっている 和金体型の品種。コメットと外観が似ていますが、こちらは透明鱗なのが特徴ですね。 和金と違い、長い尾ヒレが特徴です。

三色出目金と和金を掛け合わせ、両方の特徴を受け継いでいる日本の品種で、産地により 色合いが異なります。繁殖力も高いので流通量も多く、比較的安価に購入できます。 飼育も和金のように容易ですが、長生きする個体なので何年も飼うつもりで購入して 下さい。


らんちゅう体型金魚

らんちゅう

横を向いたらんちゅうの画像
上から見た、肉瘤の見事ならんちゅうの画像

琉金と同じような体格ですが、背ビレの無い場合がほとんどで、尾ヒレも小さくて独自の 体型の金魚。横から見ても、上から見ても楽しめて大変可愛らしい品種です。とても人気があり、 小さいサイズでもそれなりの値段がします。

飼育の難易度は高く、上級者向けです。「らんちゅう水槽」という、全高の低い水槽で水位の低い環境を 作って飼うのが一般的です。エサを取るのが下手なので、沈むエサを与え、底砂も無しで飼うやり方が 一般的です。頭部のコブは肉瘤(にくりゅう)といって、脂肪の塊です。

らんちゅう専用の水槽や、昔から品評会も行われており、金魚の王様のような扱いですね。 金魚愛好家の中でも、特に年配の方に人気があり、見事に育ったらんちゅうは非常に高価です。


水泡眼(スイホウガン)

スイホウガンが泳いでいる画像
キャリコ水泡眼が泳いでいる画像

らんちゅうから派生した品種で、中国で作出された品種です。眼球の角膜が膨大化し、眼の下が袋状に なっており、袋はリンパ液が入っていて柔らかいです。この袋はデリケートで、一度破れると治りません。

眼の下の袋を左右に揺らしながら泳ぐ姿が大変可愛らしく、流通している色は赤がほとんどで、紅白の 更紗タイプは珍しいです。黒の個体もいるらしいですが、筆者は見たことがありません。 飼育はやや難しいですが、金魚専門店で比較的安価に購入できます。


頂点眼(チョウテンガン)

頂点眼が泳いでいる画像

水泡眼に少し似ていますが、目の下に袋が無く、出目金がそのまま上を向いたような感じの品種。 出目金の突然変異種で、中国で作出されました。

熱帯魚店でも時折売られている品種で、少し探せば買えますが、それ程ポピュラーではない ですね。金魚の中でも高価で、水槽の底面をゆったり泳ぐ、おとなしい品種です。

水泡眼と違い、体は細長いですがゆっくりと泳ぎます。体色は赤や更紗がほとんどで、 それ以外の色はまず市場に出ないですね。


琉金体型金魚

琉金(りゅうきん)

左を向いた琉球金魚の画像

和金は中国から輸入された品種ですが、中国から沖縄(琉球)を経て日本へ入ってきた品種で、琉球の金魚、 略して琉金という名前になったようです。体が短く丸くて、泳ぎが下手ですが可愛らしさが魅力です。 生命力はさほど強くなく、なるべく同じような体格の金魚同士で飼うべき品種です。

この体格の金魚は、極端に短い体格のせいで「転覆病」になりやすいです。文字通り転覆したままになる病気で、 エサのあげすぎやストレスで浮き袋に異常が発生するとなるようです。沈むエサをあげて、なるべく底へ潜らせる と予防になるので、琉金には沈むエサを与えましょう。


出目金(デメキン)

黒と紅白の出目金が泳いでいる画像

昔から愛されている、大変ポピュラーな品種です。琉金の目が飛び出たような体型で、とても愛らしく、 価格も比較的安価です。飛び出た目はキズが付き易いので、デリケートに扱いましょう。

琉金と全く同じように飼育でき、大きくなると見事な姿になります。全身が黒い個体が多いのも 出目金の特徴ですね。上からの鑑賞も楽しめ、尾ヒレの形にもバリエーションがあります。


キャリコ

キャリコ金魚が泳いでいる画像

半透明な鱗で、赤、白、黒、青色の鱗を持つ個体。和金以外にも琉金のキャリコも 流通しています。鱗が半透明でない場合はキャリコとは呼ばす、「三色」と呼びます。

出目金でキャリコなら「キャリコ出目金」と呼び、和金の他にもらんちゅう、 スイホウガンのキャリコ等もあります。


丹頂(たんちょう)

白い丹頂琉金が泳いでいる画像

全身が白で頭部が赤い品種で、肉瘤(にくりゅう)がある品種です。鶴の「丹頂鶴」になぞらえた名前で、金魚の丹頂 だと琉金の体型がほとんどです。白と赤のコントラストが美しく、人気がありますね。流通量は比較的多く 熱帯魚店でも見かけやすいですね。

白い尾ヒレの長い個体が多く、大変優雅に泳ぎます。昔は「紅帽子」という名称でしたが丹頂に統一されました。 金魚以外の品種でも、同じ特徴を持っているとタンチョウと呼ばれる場合もあります。

オランダ獅子頭(ししがしら)

白い丹頂琉金が泳いでいる画像

肉瘤(にくりゅう)もった琉金で、らんちゅうと違い大きな背ビレがあります。カラーバリエーションがあり、 産地によりそれぞれ名称が異なる場合もあります。肉瘤が大きいほど優れた固体と評価されます。

飼育は比較的簡単ですが、肉瘤を大きくしたいならエサを天然エサにする必要もあります。 赤色、オレンジ色が基本色ですが、白や黒の個体もありますが稀少で高価です。出目金タイプも あり、品種改良が国内で盛んに行われています。

品種名に「オランダ」と付きますが、オランダ国とは関係がなく、中国原産の金魚です。 日本に輸入された際に、自然とオランダと名前が付いたようで、肉瘤が付いた顔のため 獅子頭と命名されたようです。


東錦(あずまにしき)

大きな東錦金魚が泳いでいる画像

オランダ獅子頭と三色出目金を交配させて作出された品種。赤、白、黒の三色の体色を もつオランダ獅子頭ですね。大きくなるほど鑑賞価値が上がる見事な品種です。

大変見栄えが良く人気があるので、一般的なお店では流通量が少ないです。高価な品種なので 入手出来た場合は大事に育てて下さいね。


花房(はなふさ)

中国産花房金魚が泳いでいる画像
↑中国産の花房金魚
 
国産花房金魚が泳いでいる画像
↑国産の花房金魚

鼻の部分に肉瘤(にくりゅう)があり、花の房が付いたようにに見える品種。小さいときは肉瘤も小さいですが 成長と共に徐々に大きくなります。他の金魚にかじられないように、同じ品種同士での飼育が好ましいです。

国産は背ビレがあり、中国産は背ビレがない場合がほとんどです。なかなか可愛いですが 金魚専門店くらいでしか見かけない珍しい品種です。上から見ても横から見ても楽しめますよ。

国産の方が尾ヒレが長く、優雅な印象があります。なおこの品種はオランダ獅子頭の 突然変異種から作出されたようです。尾ヒレはキレイな四つ尾になります。


地金(じきん)

地金が泳いでいるのを上から鑑賞している画像

体は白く、ヒレが赤く尾ヒレはクジャク尾といって、停止時にX状に開くのが美しい品種。 金魚専門店でも入荷は非常に少なく、1尾1万円程度します。体長4、5cm程度の小さい 個体なら二千円で売られていることも。

和金の突然変異種ですが、生命力が低く、飼育は難易度が非常に高いです。 なかなか買える品種ではないので、上級者向けといえそうです。 なおヒレやクチは人工着色で赤くされています。着色無しだと全身が白い個体になります。


サバ尾

サバ尾が泳いでいる画像

北陸、東北で派生した品種で、体は琉金、尾ヒレは長い吹き流し尾。 雪国で生きてきた系統なので、特に寒さに強いのが特徴ですね。

ただこのサバ尾は、北陸や東北では琉金と混ざって流通しており、明確には 区別されていないのが現状のようです。

サバ尾の体型の良い、丸みのある個体は「玉サバ」と呼ばれ、サバ尾よりも 少し価値が上がりますが、パッと見では違いは分かりにくいのが本音ですね。


青文魚(せいぶんぎょ)

若くて青い青文魚が泳いでいる画像

銀色の琉金といった印象の金魚。青黒い体色の金魚で、戦後に日本に輸入された品種です。 人気はあまりなく、かなりマイナーな金魚ですが独自の色あいを好む方もいますね。

各ヒレが長く、若い固体は美しいですが成長と共に退色する傾向があります。 頭部に肉瘤のある個体とそうでない個体の2系統があり、肉瘤のある系統は「高頭青文」といい、 この系統の方が多く流通しているようです。 全身が退色した個体は「ハクオウ」、腹部のみの退色の場合は「ハゴロモ」と呼ばれます。

青みがかった体色の金魚はこの青文魚くらいで、独自の美しさがあります。 背中部分に薄い緑色がある個体が多いのも特徴ですね。流通量は少ないですが価格は安めなので 手軽に買える金魚でもあります。


蝶尾(ちょうび)

キャリコ柄の蝶尾を上から見ている画像

その名のごとく、尾ヒレが開くと蝶のように見えることから名付けられた品種。 泳ぎを止めるとパッと開く尾ヒレがとても美しく、非常に人気が高くて流通量が少なく高価です。

体型はデメキン型が圧倒的に多く、ショートテールなどの亜種もあり、体色はキャリコ、 更紗、赤、黒がありますが流通しているのはキャリコが多い印象です。

若い固体はまだ比較的安いので、安くて小さい個体を購入してじっくり育てたくなる品種です。 泳ぎは特に苦手なので、水流の少ない環境で飼育しましょう。


丸型体型金魚

ピンポンパール

更紗のピンポンパールが泳いでいる画像

ピンポン球のように丸い体型で、各ヒレはかなり短く、泳ぎがゆっくりした品種。 半球状のウロコをもち、外観がとても可愛いので女性にも人気があります。

生命力は低く、泳ぎが下手なので、他の品種との混泳は避け、ピンポンパールだけで 飼わないとうまくエサが取れません。白や更紗(紅白)の個体がほとんどで、 市場での人気が高いので高価な品種です。

繁殖は比較的容易で、長年飼育するなら室内よりも屋外で育てた方が長生きしやすい です。ただ大きくなるとキュートな感じは無くなってきます。