チェスのテクニック

対局中のチェス盤

チェスで勝つには、様々なテクニックが必要になってきます。その中で代表的なテクニックを紹介していきましょう。 実践の中で自然に身に付くものもありますが、しっかり学んでおくことでチェスに強くなれます。

フォーク

フォークを決めたナイト

将棋でいう「飛車・角取り」のようなもので、1つの駒で相手の駒2つを狙うので、どちらか片方を取る事ができます。 最もフォークの機会が多いのはナイトで、次いでビショップやクイーン、ルークあたりですね。またポーンでもフォークを 決める機会は少なくありません。

画像の赤い点が付いている駒をナイトなら取れます。この点に敵のキングやルークが入っていると、一気に強い駒を 取れて戦局が有利になります。ナイトで敵のクイーンかルークが取れれば上出来ですね。ナイトは独自の移動マスの為、 相手に読まれにくく、意外な場面で攻撃できる駒といえます。フォークで相手のキングと大駒を捉えると簡単に大駒を 取れるのでドンドン狙っていきましょう。

フォークを決めたクイーン

次いで、クイーンやビショップでもフォークは決められますが、出来るだけビショップでより強い駒を取れるのが理想的です。 クイーンは敵のクイーンかルークを狙うなど、自由度の高さが魅力的です。

ピン

ピンを決められている状態

ピンとは、相手が大事な駒(キングなど)を守るために動けないようにするテクニックです。ピンされると、その駒は動けない為に こちらは有利に戦う事ができます。なおこのピンはクイーン、ビショップ、ルークだけが使えるので、中盤でいかにピンを使えるかが重要に なってきます。

画像は敵にピンされている状態で、敵のクイーンにキングを狙われているために、ナイトが動けなくなっています。対策としては こちらのキングを動かし、かつピンされていた駒も守れるようにすると「ピン」は外せます。

スキュア(串刺し)

スキュアの例1

スキュア(串刺し)とは、キングにチェックをかけてキングを避けさせ、その後ろにいる駒を取るテクニックです。ピンの逆というか、 キングの後ろにいる強い駒を取ることを狙いとした高等テクニックです。

スキュアの例2

クイーンにチェックされ、敵のキングは避けるしかありません。これで敵のルークをあっさりと取る事ができます。 ただこれは敵からくらうと辛いですから、なるべくキングと同じ直線状には大駒は置かず、スキュアされにくいようにする防衛策も 必要といえます。

なお「スキュア」はやや発音が難しいので、国内では「串刺し」と呼ぶ方が一般的です。終盤でもかなり有効なテクニックなので ぜひ覚えておきましょう。ただ外国では「スキュア」と呼んでいるようです。

ディスカバー

ディスカバーの例1 ディスカバーの例2

自分の駒を動かすことでその後ろにいる自駒を効かせて、2重に攻撃を仕掛ける手法です。主にクイーンやルーク、 ビショップの効きを生かす場面が多く、敵のキングにチェックを効かせて他の強い駒を取るのが効果的です。

敵はキングをチェックされているのでキングを動かさざるを得なく、将棋でいう「王手飛車取り」のような状況を 2つの駒で作る作戦です。主に中盤で使われるテクニックですね。やや出番の少ないものですが、上級者ほど上手に ディスカバーします。

ダブルチェック

ダブルチェックの図1 ダブルチェックの図2

ディスカバーの要領で、1度に2つの駒でキングにチェックするテクニックです。決まればチェックメイトの可能性も高く、 うまく決まった時は爽快な手でもあります。

図では、白のビショップが黒のキングにチェックをかけると同時に、後方のクイーンからもチェックがかかり、ダブルチェック になっています。さらに白のルークがキングの逃げ道を塞いでいるのでチェックメイトですね。

ポーンチェーン

ポーンチェーンの図

ポーンは一番弱い駒ではありますが、他のポーンと連携することで強靭な壁のように守る事もできます。 序盤から終盤にかけてよく使われる陣形といえます。強い駒の抑えにも有効ですね。画像は白のポーンが 斜め後ろの駒に守られている状態。

パスポーン

パスポーンとは、敵陣地の一番奥まで行ける可能性のあるポーンのことです。終盤でうまくポーンを進ませ、昇格して クイーンになれば一気に有利になりますし、それを防ごうと敵が無駄な動きをしてくれるので、たとえ昇格できなくても その分他の駒を有利に進ませることもできます。

その為、ポーンはあまり無駄にせず、終盤まで残すようにしておくとなにかと有利になります。慎重に扱うのも大事ですね。

駒得

駒得(こまとく)とは、弱い駒で相手の強い駒を取ることでより戦局を有利にするもの。ポーンでビショップを取る、ルークで クイーンを取るなどして戦力差を広げます。ただ最終的にはチェックメイトが目的ですので、中盤以降は相手に駒得されても 結果的にチェックメイトして勝つ事が重要です。

サクリファイス

自分の駒を使って、あえて敵の駒をおびき出して相手の強い駒を取るテクニックです。ビショップを犠牲にしてルークやクイーンを 取るのが理想です。ただコンピューター相手だと読まれやすく、対人戦の方が成功率が高いと思います。

別名「ルアーリング」とも呼ばれ、敵のキングを誘い出してチェックメイトに持ち込むこともでき、有効なテクニックです。 中盤、終盤で使う機会が多いテクニックです。

ツークツワンク

ほぼ終盤にしか使えないテクニックですが、相手の駒をブロックして敵のキングのみを動けるようにし、相手は嫌でもキングを動かす しかない状況に追い込む手法です。キングしか動けないのでチェックメイトしやすく、自滅させやすいのが強みですが 千日手に逃げられないように注意する必要があります。

キャスリング

キャスリングの図1   キャスリングの図2

キャスリング(入場)というのは、特定の条件で1回だけキングとルークを同時に動かせるルールで、 これを使うとキングを端へ動かせて尚且つルークを戦線に出しやすくなるので積極的に使いましょう。 必ず毎回使わなければならないわけではないですが、何かと便利です。

ただしキャスリングは条件があり、キングがチェックされていなく、ルークとの間に他の駒がない場合で、 かつキングもルークも動かしていなく、キングの通り道に敵の駒の効きがない時のみです。 キャスリングとは、キングとルークを入れ替えるような感じになります。

なおキャスリングは、右端(キング側)や左端(クイーン側)どちらにでも行けます。状況を見て 判断しましょう。ただ経験上、右側キャスリングのほうがやりやすいと思います。

駒筋を把握する

現在、自分の全ての駒はどう動けるか。そして相手の駒はどう動けるか。これを掌握して一手一手慎重に 進めるのが上達の近道といえます。「!」という発見もあるのがチェスの面白い部分ですね。

味方の駒同士の連携

攻めだけでなく守りも重要です。相手がこちらのナイトを取られないように、クイーンの駒筋を利かせたり して1つの駒を他の駒で守って連携させるのも重要です。相手がビショップでナイトを取ってもすかさず ビショップがクイーンに取られるような状況なら、相手もうっかりとは動けません。

ディフェンスの図1

連携ディフェンスの例1。黒クイーン(王冠の駒)は白のポーンを取りたくても、その後ろにいる白クイーンが いるので白ポーンを取れません。足止め成功ともいえます。

 
ディフェンスの図2

連携ディフェンスその2。黒ルークが白ビショップを取ろうとしていますが、白ルークに守られて取れません。 連携プレーで弱い駒でも強い駒を抑えることが可能です。

数手先を読むことが大事

チェスの初心者を卒業すると徐々に分かってくることですが、数手先を読む思考力も要求されます。 あくまでチェックメイトが最優先なので、その為にはあえて強い駒を捨てたり、逆に相手の駒を取らない事で キングの逃げ道を開けないといった戦略も必要です。

駒にはポイントがある

各駒にはポイントが振られていて、ポイント差が大きいほど有利になりますが、多少の差は問題になりません。 ポーンが1P、ナイトが3P、ビショップも3P、ルークが5P、クイーンは9Pとなっており、失えばその分 減算されます。

ポイント差がそのまま戦力差になるので、終始このポイントで相手をリードするのが理想的ですが、最終的に チェックメイトさえ出来れば勝ちなので、たとえポイントで負けていても相手のキングを追い詰めれば勝ちです。